小児科の紹介
小児に関係するさまざまな病気を診療しています。
具体的には
- 血液・腫瘍疾患
血液・腫瘍グループは血液腫瘍、各種固形腫瘍を含む小児悪性腫瘍疾患、血液疾患、免疫異常疾患の治療と研究を行っています。我が国を含め先進国では小児の病気の死因の第一位はがんです。この小児がんの一刻も早い克服を目指して日々診療・研究にあたっています。小児がん、血液疾患、免疫異常はいずれも比較的まれな疾患であり、国内外のこうした稀少疾患の研究グループに参加して病気の本態の解明に寄与すると共により良い治療法の開発に取り組んでいます。
当グループは1990年代から急速に発展、確立してきた臓器移植治療のひとつである造血幹細胞移植について、国内でもいち早く1984年に第1例目の骨髄移植を行いました。以来、改善してきているとは言え、未だ決して予後が良いとは言えない悪性腫瘍疾患の治療・研究に努力しています。造血幹細胞移植治療はその移植ソースが自己、血縁者/非血縁者骨髄、末梢血幹細胞、臍帯血と多様化していますが、そのいずれも施行可能な体制を整え、患者さんに最も有利な方法を選択しています。近年進歩の著しい分野であり、国内外関係施設と積極的に協力して診療に努めています。
基礎研究面では、先天性血液疾患についてその病因と病態の解析、また、血液細胞の生理機能解析にも力を入れています。臨床における観察に基づいた患者さんベースの研究を目指しています。先天性血液疾患の中には白血病化するものもあり、この腫瘍化のメカニズムについて特に力を入れて研究を行っています。
主な多施設共同臨床研究プロジェクト
血液類縁疾患
【日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)】
●急性リンパ性白血病 ALL-B19, ALL-T19(2021年~),SCT-ALL-BLIN21(2022年~)
●フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 ALL-Ph18(2019年~)
●乳児急性リンパ性白血病MLL10(2012年~),MLL17(2020年〜)
●急性骨髄性白血病AML-12(2012年〜)*開始次第AML-20に参加予定。
AML-SCT15, AML-R15 (2020年~)
●悪性リンパ腫LLB-NHL03 (2003年~),B-NHL-14(2014年〜)
ALB-NHL14(2015年~),HL-14(2015年~),ALCL99(1999年~)
ALB-R13(2014年~),ALCL-RIC18(2020年~),PL-19(2021年~)
●慢性骨髄性白血病CML-17(2020年~)
●ダウン症候群に発症した小児急性骨髄性白血病AML-D16 (2019年~)
●ダウン症候群に発症した急性リンパ性白血病ASIA-DS-ALL 2016 (2018年~)
●一過性骨髄異常増殖症TAM-18 (2019年~)
●血球貪食性リンパ組織球症HLH 2004(2006年〜),EBV-HLH-15(2021年~)
●ランゲルハンス細胞組織球症 LCH-12(2012年〜),LCH19-MSMFB(2021年~)
●若年性骨髄単球性白血病JMML-20 (2021年~)
固形腫瘍
【日本小児がん研究グループ(JCCG)】
●神経芽細胞腫
日本神経芽腫研究グループ(JNBSG)JN-H-15(2015年~)JN-H-20(2021年~)
●横紋筋肉腫
日本横紋筋肉腫研究グループ(JRSG)JRS-Ⅱ(2016年~)
●ユーイング肉腫
日本ユーイング肉腫研究グループ(JESS) JESS14 (2016年~)
●肝芽腫
日本小児肝癌スタディグループ JPLT4: PHITT (2018年~)
●腎芽腫
日本Wilms腫瘍治療研究グループ JWiTS-2 (1997年〜)
- 循環器疾患
先天性心疾患が中心ですが、後天性心疾患として川崎病、心筋症、不整脈、特発性肺動脈性肺高血圧症なども対象に診療を行っています。先天性心疾患に対しては、産科や循環器内科との連携を図り、胎児診断から成人期の妊娠・出産に至るまで人生のあらゆる場面で適切なサポートを行っております。また、心臓MRIを積極的に撮影し、治療に役立てています。カテーテル治療は、1988年に肺動脈弁狭窄症に対するバルーン弁形成術が行われたのが最初で、肺動脈弁や末梢肺動脈、大動脈縮窄術後再狭窄のバルーン形成術、側副血管のコイル閉鎖術などを主に行っています。 - 神経疾患
てんかん・脳性麻痺・脳炎/脳症などこどもの発達に関わる様々な疾患を対象としています。具体的には各種てんかん症候群、筋ジストロフィーやミオパチー・先天奇形症候群・発達障害(自閉スペクトラム症や注意欠如多動症)・急性脳症などの診療に従事しています。てんかんに対しては長時間ビデオ脳波記録を活用して多数の診療を行っています。また重症心身障害児・医療的ケア児の在宅医療支援を積極的に推進しています。 - 新生児疾患
当院の特徴としては早期産だけでなく、外科的疾患を抱えた児を診ることが多い点にあります。県内陸の2つのNICUでは本格的な外科的疾患に対応するのは難しく、胎児超音波による診断で出生後、小児外科、脳神経外科的処置が必要であると判断された場合、当院へ母体搬送される症例が多く、出産への立ち会い、蘇生や中心静脈カテーテル挿入など初期の処置を外科医と連携して行っています。 - 腎臓疾患
新生児領域では先天性腎尿路奇形、先天性ネフローゼ症候群など、急性疾患では急性腎不全、急性腎炎、各種薬剤の副作用、電解質異常, 溶血性尿毒症症候群など、慢性疾患では慢性腎炎、慢性腎不全、ネフローゼ症候群などの疾患を対象としています。必要な症例には腎生検を行い診断・治療に役立てています。またその他にも、腎移植後、腹膜透析中の患者様の診療を含めて、多岐にわたる診療を行っています。 - 内分泌・代謝疾患
内分泌・代謝チームは、フェニルケトン尿症、シトリン欠損症など多岐にわたる先天性代謝異常症およびホルモンの異常(先天性甲状腺機能低下症、低身長、思春期早発症・遅発症)や、小児糖尿病の診療を行っています。