我が国独自の「切らない乳がん治療」の一つであるラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法(radiofrequency ablation therapy:RFA)が保険診療となりました。山形大学医学部附属病院はRFAの治療体制が整った実施医療機関として2024年4月26日に日本乳癌学会から選定され本治療が実施可能となりました。現在、同治療は東北全体で3施設のみ、山形県では当院のみ実施可能となっております。
RFAは、「腫瘍径1.5㎝以下、腋窩リンパ節転移および遠隔転移を認めない」などの条件を満たす限局性早期乳がんに対して全身麻酔下にセンチネルリンパ節生検を行い、腫瘍に直径1~2mmの電極針を刺してラジオ波帯(約472KHz)の電流を流すことにより、約70℃で10分程度加熱をして腫瘍を焼灼する方法です。手術時間は1時間程度、入院期間も4日間程度となります。根治性を維持したまま高い整容性を実現でき、低侵襲で出血も少なく、術後の痛みもほとんどなく、患者さんの社会復帰が早いなどのメリットがあります。ただし、これまでの手術療法と同じく術後の放射線療法、薬物療法、定期的な画像診断が必要であり、更に腫瘍が完全に消失しているかどうか確認の為、組織診断を受けることが必要です。
県内の患者様においては治療の選択肢が増えることになります。当院では標準的な手術療法、非手術治療、両者をしっかりご説明いたしますので納得のいく乳がん治療を受けて頂きたいと思っております。