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【インタビュー】看護チームでつなぐ、安心のバトン

病院という慣れない環境で、不安な時に一番近くにいる存在。それが看護師です。山形大学医学部附属病院における看護では、「患者さんの望みは何か」「必要な看護は何か」を患者さんの目線で想像し、「生活」と「その人らしさ」を大切にした患者さんにとっての最善の看護を目指しております。看護師の仕事は、外来、入院、治療、退院、そしてご自宅での療養まで、患者さんの歩みに「点」ではなく「線」で寄り添い、チームで支え続けています

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なかでも、患者さんが安心して住み慣れた場所や希望される場所へ帰れるよう、架け橋となって奔走する『退院支援看護師』の存在をご存知でしょうか。

今回は、心臓病を持つ患者さんに多く関わっている退院支援看護師さんに、その知られざる役割と想いについてお話を伺いました。


Q1. 退院支援看護師の役割とは?

聞き手: まずは、自己紹介からお願いいたします。

冨岡: はい。退院支援を中心に行っている看護師の冨岡です。私は、入院されている患者さんが「住み慣れた家」へ安心して戻れるよう、また「新しい生活の場」がイメージでき安心して移れるように、退院に向けた準備や細かな調整を担当しています。

聞き手: 「退院支援看護師」というお仕事、一言で表すとどのような役割なのでしょうか?

冨岡: そうですね。一言で言うなら、「患者さんの『これから』を支える、安心の橋渡し役」でしょうか。

聞き手: 橋渡し役、ですか。具体的にはどのようなことをされるのですか?

冨岡: 単に退院の手続きをする看護師ではありません。患者さんやご家族が抱える「これからどう生活していけばいいんだろう」という不安に寄り添い、どんな生活を望まれるかを一緒に考えていきます。

聞き手: 精神的なサポートから、具体的な生活の設計まで多岐にわたるのですね。

冨岡: はい。そのためには、院内の医師や病棟看護師、リハビリスタッフだけでなく、地域のケアマネジャーさんやソーシャルワーカーさんといった、「多職種との連携」が欠かせません。必要な医療・介護・福祉サービスに一つひとつ丁寧につないでいくことが、私たちの重要な役割になります。


Q2. 支援はいつ、どのタイミングで始まるのでしょうか?

聞き手: 退院間近になってからお会いするイメージがありますが、実際はどうなのですか?

冨岡: 実は、「入院が決まった日」から始まることが多いです。早い段階でご挨拶に伺い、「お家での生活で困っていることはないですか?」と伺います。「家に帰れるかな」「介護はどうしよう」といった不安を、早めに共有していただくことで、準備の選択肢がぐっと広がるんです。


Q3. 具体的にどのような相談が寄せられるのですか?

聞き手: やはり病気のことでしょうか?

冨岡: いえ、むしろ「生活そのもの」への不安が多いですね。多岐にわたるので、よくある声をまとめてみました。

よくある相談内容
生活・介護 自宅での生活が心配、介護できる家族がいない、
家族に迷惑をかけたくない、一人暮らしで家事が不安、施設も検討したい
制度・お金 介護保険の使い方がわからない、薬代や入院費が心配
体調管理 退院後は安静にすべき?運動や食事はどう気をつければいい?
家族の悩み 本人は「できる」と言うが、家族から見ると危なっかしくて不安...

冨岡: 私たちは、医療だけでなくこうした「暮らし」の不安を丸ごと受け止めるようにしています。


Q4. 患者さんやご家族と向き合う際、大切にしていることは?

冨岡: 「言葉にならない不安の正体」を一緒に探すことです。患者さん・ご家族の漠然とした困り事の元は「なにか」を丁寧に聞いていくことです。「なんとなく不安」という思いを丁寧に紐解いていくと、解決の糸口が見えてきます。その上で、医師や病棟スタッフと相談し、その方の生活スタイルに合った「具体的な解決策」を提案することを心がけています。


Q5. 地域の関係機関とはどう連携しているのですか?

聞き手: 病院の外の方々とも連絡を取り合うのですね。

冨岡: はい、ケアマネジャーさんや訪問看護師さん、ヘルパーさんなどと密に連絡を取ります。院内でも週に一度、心臓病の患者さんについて多職種で検討する会議を行っています。また、退院前に地域のスタッフを交えた「退院前カンファレンス」を開き、直接顔合わせをすることで、安心して退院できるようにしています。退院後も病状や治療方針について、ケアマネジャーさんからの問合せも多くあります。情報提供については、主治医と連携をとりながら、個人情報保護に配慮し行っています。


Q6. 「看護師」が退院支援を行う強み、そしてやりがいとは?

冨岡: 看護師は病状を深く理解しているので、「この病気なら、退院後にどんな生活上のリスクがあるか」を予測し、先を見据えた提案ができることが強みです。難しい医療用語を、患者さんや福祉職の方に分かりやすい言葉で伝える「通訳」のような役割も果たします。

聞き手: 大変なことも多いのでは?

冨岡: 複雑な家庭環境や認知症など、正解を出すのが難しいケースは確かに大変です。でも、何度も再入院を繰り返していた方が、支援によって自宅で安定して過ごせるようになったり、「あのおかげでスムーズに生活できた」と笑顔で言っていただけたりすると、この仕事をしていて本当に良かったと心から思います。


Q7. 市民の皆さんに「これだけは知っておいてほしい」ことはありますか?

冨岡: 心臓病は、手術や薬だけでなく、減塩の食事や適度な運動など「生活習慣の見直し」が揃って初めて安定します。そのため、心臓病の治療は薬物やステント治療、外科手術など、病気そのものに対する治療と、生活習慣の見直しや血圧や体重測定など、悪化を予防・早期発見する環境づくりの両輪で行う必要があります。慣れるまでアドバイスが欲しい、自宅でも医療者から体調を確認してほしいなどの希望があれば、病院と地域の医療・介護の専門家があなたをサポートする環境を整えることができます。

もう一点、「退院の準備は、入院が決まった時から始まっている」ということ。「お風呂掃除、一人でできるかな?」といった些細な気づきでいいんです。入院中にあらかじめ対策を試しておくことが「転ばぬ先の杖」になります。遠慮なく、私たちに声をかけてくださいね。


Q8. 最後に、メッセージをお願いします。

冨岡: 心臓は24時間休まず動いています。そんな心臓が年齢や生活習慣、体質によって、突然病気になってしまったら?治療のこと、お薬のこと、食事のこと、退院してからも続く生活のこと。どうしたらいいんだろうと心配に思ってしまいますよね。

心臓は「Heart」、つまり「」でもあります。身体のことはもちろん、私たちは皆さんの「家で過ごしたい」「仕事を続けたい」という一人ひとりの想い(Heart)を大切にしたいと思っています。あなたにとって最適な生活が送れるよう全力でお手伝いしますので、どうぞお気軽にご相談ください。


冨岡さんのお話から、心臓病と向き合う姿勢や、患者さんの望む暮らしを支える看護師の役割について理解を深めることができました。患者さんやご家族のそばに寄り添ってくださる看護師さんの存在が、とても心強く感じられました。

ありがとうございました!

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