山形大学医学部附属病院

次世代重粒子線照射装置

重粒子線がん治療装置の予算案政府決定と
今後の整備計画

山形大学医学部附属病院における重粒子線がん治療装置については、平成27年度から開発に着手することについて、27年1月に政府の予算案として決定されました。

平成27年度予算案においては、事業着手の初年度の整備経費等として約4億円が計上されました。今後、国会での平成27年度予算の成立を経て、施設整備事業の着実な実施に取り組んでいくこととしています。

建物・装置の整備に必要な資金については、平成27年度~30年度の4年計画で総額約150億円となるため、国の予算措置及び山形大学の財政融資資金からの借入れはもとより、山形県、山形市はじめ県内市町村から資金支援を頂くこととなっています。その他、地元の民間企業、個人からの寄附金をお願いしているところであり、地元・民間から計数十億円の資金支援を目指しています。

表1 建物・装置の整備の実施計画

今後の建物の整備計画については、表1に示すように、平成27年度は、まず、建物・装置の設計を行い、その後、装置製作・建物施行工事に着手することとしています。

平成28年度から30年度にかけて、装置製作・建物施工工事を完了させ、装置の調整、消防・医療法等の官公庁許認可を経て、平成31年10月頃の治療開始を目指しています。

図1 全国の重粒子線がん治療施設の設置状況

現在、稼働中や計画中の重粒子線がん治療施設は、図1に示す通りですが、山形大学の装置は、これまで重粒子がん治療の空白地域だった東北地域で初めての画期的なものとなります。

山形大学の重粒子線がん治療装置の仕組みと
重粒子線がん治療の優れた特長

図2 山形大学の重粒子線がん治療装置のしくみ

重粒子線がん治療装置は、図2にあるように、①の入射器系で炭素のイオン(重粒子)を作り出し、②のシンクロトロン(加速器)で光速の70%近くまで重粒子線を加速し、③の高エネルギー輸送系を経て治療室まで重粒子線を輸送し、治療室内にある④のスキャニング装置により患者さんのがんに重粒子線を照射して治療する装置です。

また、本装置においては、⑤の超伝導回転ガントリーの導入により、360°の任意の方向からの重粒子線の照射が可能となりました。超伝導ガントリーの導入は、放射線医学総合研究所に次ぎ世界で2番目のものとなります。これにより、従来型装置の固定方向照射方式に比べて、患者さんの身体的負担が軽減され、患部のがんへのより正確な治療が可能となります。

重粒子線がん治療には、次のような優れた特長があります。

  1. 重粒子線はがん部位に集中的に照射可能な物理的性質があるため、一般の放射線に比べ正常部位への副作用・ダメージがより少ない。
  2. がん細胞を殺す効果がより強いので、治療効果がより大きく、一般の放射線が効きにくいがんにも効果を発揮。
  3. 線量集中性が高く一回の照射線量が高いことから、一般の放射線治療に比べ、治療期間が短く入院の必要性も減るため、社会生活上の支障がより少ない。

水素イオンを加速して治療する陽子線がん治療も同様に優れた特長がありますが、重粒子線がん治療の方がさらに有効とされています。

山形大学の重粒子線がん治療装置に係る
優れたコンセプト

山形大学の重粒子線がん治療装置は、より一層の省エネルギー・省スペースを実現し、敷地面積の狭い都市部総合病院への接続を可能とするものであり、国内外への普及・輸出を通じた医療産業の国際展開を目指しています。また、東北地域の病院間TV会議システム等を整備し、患者さんの紹介等を円滑に行うことができるITネットワークを構築しています。

このため、表1にもあるとおり、政府の補正予算を活用し、平成25年度、26年度にかけて、山形大学の粒子線がん治療装置において以下を実現するための研究開発を、三菱電機株式会社、株式会社東芝等と共同して進めてきました。また、加速器等の医工連携共同研究を行う場として「重粒子線がん治療装置研究棟」を整備しました。

重粒子線がん治療装置研究棟開所式の様子(平成26年8月4日)

  1. 治療に必要な時だけ装置を動かす省エネルギー運転方法の確立
  2. 装置の立体的な配置(キューブ型配置)・超電導回転ガントリーの採用による省スペースの実現
  3. 最新重粒子線照射法(スキャニング照射法)の採用により、患者ごとに作成する重粒子線調整用器具(治療後廃棄物になる)等の廃棄物ゼロの実現
  4. 運転・保守点検の自動化等によるイージーオペレーションの実現

また、ITネットワークの構築に関しては、東北地域6県の中核病院(大学病院等)を含む61病院をTV会議システムで接続する遠隔カンファレンスシステムの実現により、遠方の患者さんの紹介や治療相談がより一層円滑に実施できることになりました。写真3は、同システムを利用して実施している遠隔カンファレンスの状況を写したもので、既に積極的に活用されているところです。

さらに、各種の放射線治療の有用性を比較検討できる次世代型放射線治療計画システムの整備、東北地域の放射線治療データを集積した広域放射線治療データベースの構築を進めています。これらにより、重粒子線治療はじめ放射線治療全般をより最適に実施する医療環境や重粒子線がん治療の優位性を臨床研究・学術研究を国際的に発信できる環境が整うことになります。

地元の寄附等資金支援のお願い

冒頭にご説明したように、地元・民間から計数十億円の資金支援を目指していますが、必要な施設整備や研究の推進のためには、地元・民間からのご支援がまだまだ必要な状況です。

既に寄附金を頂いた企業や個人の皆様、資金支援を明らかにされた山形県、山形市はじめ県内市町村の皆様に対し、厚く御礼申し上げますとともに、地元・民間からの温かい一層の資金支援をお願いいたします。

 医学部教育研究診療支援基金へのご協力について  

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税制上の優遇措置について

1.寄附者が個人の方の場合

本基金は、所得税法第78条第2項第2号に基づき財務大臣が指定した寄附金(昭和40年4月30日大蔵省告示154号)に該当しますので、特定寄附金として、次の寄附金控除額を総所得金額等(総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額)から控除できます。

寄附金控除額
A・Bのいずれか低い方の金額-2,000円=寄附金控除額
 A:その年に支出した特定寄附金の合計額
 B:その年の総所得金額等の40%相当額

2.寄附者が法人の場合

本基金は、法人税法第37条第3項第2号に基づき財務大臣が指定した寄附金(昭和40年4月30日大蔵告示154号)に該当しますので、全額損金に算入することができます。

3.この税法上の優遇措置を受ける場合は、本学から後日送付される領収証明書が必要となります。